ワールズエンドスーパーノヴァ chapter 1.5 -1-
なんか、こんにちは!
むちゃくちゃお久しぶりで、すみません!
こんな過疎サイトに、ぽちぽちと拍手、ありがとうございます…!
ホントに嬉しいです。
少しだけ、ワールズエンドの続き?がありますので、上げちゃいますね。。
水谷が大学時代に阿部を置いて放浪の旅に出てしまった、その後の話です。
・・・一応この話も続き?があるのですが、ちょっと、いろいろ、いやまぁ・・・
な、話なので、どんな水谷でも大丈夫な方だけ、読んで頂けると、ありがたいです。
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■ ワールズエンドスーパーノヴァ chapter 1.5 -1-
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長い間、世界中をうろうろと旅していたのだが、いよいよ資金的にも厳しくなり、尚且つ大学の卒業も危ういと来たら、水谷にはその全てをどうでもいい、と投げ出すほどの覚悟もやけっぱちさも無く、だらだらとスケッチブックにカンボジアの風景を描きながら悩んでいたところに、背中を押してくれる人が現れ、日本へと戻ったのだ。
帰るよ、と電話した時に、久しぶりに母親の声を聞いたら涙が出そうになった。母は泣いていた。結局は、戻れる場所があるから、こんな遠くまで来れた、ただそれだけの事だった。
そのことに気付くのに、こんなにも長い時間と長い旅路が必要だった。
しかしそれと同時に、人間と言うものが酷く孤独である、ということも、水谷は学んだ。
結局、水谷の中からあの人の存在が消えることは無かったし、何かで埋められることも無かった。
ただただぽっかりと自身のうちに穴は空いたままであった。
それでも時が経てば、そんな穴に対しても水谷は冷静に客観的に向き合えるようになったし、その穴の淵を覗き込む度に、引き裂かれそうな痛みを感じることは無くなっていた。
南極大陸以外の大陸には全て足を掛けた。
それぞれの土地で出会った沢山の人々と、沢山の笑顔と想いと出来事は、自分と同じような穴や、自分とは全く違う穴を、身の内に抱えている人々が、世界中にどれ程居るか、ということを水谷に教えた。
それぞれの穴を誰一人として共有することは出来ない。家族であっても、恋人であっても、心の底から愛した人であっても。
何て孤独なんだろうか。
それは水谷にとって、酷く感傷的であった。
しかし、だからこそ今は思えるのだ。
その孤独を脱そうともがく人々と、分かり合おうとする人々と、ちっぽけなプライドを振りかざした故に愛する人を手放してしまった、悲しい過去の自分。そういうものが全て愛おしいと。
ようやく水谷は、自分を心の底から愛おしい、そう思えるようになった気がした。
母・きよえは成田まで迎えに行く、と騒いだらしいが、ほうって置くように、との親父の厳命で、水谷は成田から電車を乗り継ぎ乗り継ぎ、埼玉の実家へ向かった。
清潔な車内、親切なアナウンス。
短くした制服のスカートを揺らしながら喋る女子高生や、疲れた顔で携帯チェックしているサラリーマン。
窓の外を流れる日本家屋の並んだ風景。
ここは、日本だった。
懐かしい、日本だった。
ふと、遠くに野球場らしきフェンスが見える。その内側で、ぶかぶかのユニフォームを着た少年たちが野球をやっている。
きっと地元の少年野球チームの試合だろう。
水谷が野球を始めたのは小学校四年の頃だから、それよりは小さい感じがする。
旅先では、全く野球に触れなかった。
野球を知っている国の、なんと少ないことか。
一応グラブは持って国を出た。
しかし、カリブのとある国に行った時に、野球を知っている男の子と仲良くなり、それまで野球の「や」の字も知らない中を旅していたためか、水谷は喜んでしまった。喜びの余り、今やグラブはそのカリブの少年の手にある。
高校時代から大事に使っていたグラブを上げてしまう程、あの時の水谷は興奮したのだ。
それと同時に、何かが吹っ切れた瞬間でもあった。
高校で使っていただけではない。
あのグラブは、猛勉強して入った大学で、阿部と同じ時間を持つたびに、キャッチボールをしたグラブだった。
今思えば、そのグラブを持って、旅に出てしまうほど、水谷の心は雁字搦めになっていた。
色んな場所を廻り巡って、沢山の人々に出会いながら、ようやく辿り着いた地球のほぼ真反対で、真っ青な空の下、小さな少年とキャッチボールをした時に、ようやくその糸から開放されたのだ。
「みやはらー、みやはらー」
ようやく懐かしい駅名がアナウンスされ、水谷は最寄の駅に降り立ち、また重量のあるバックパックを担ぎ上げる。
駅から家まではかなりの距離があるが、これくらいを歩くのは、水谷には全く苦ではなかった。
むしろ駅からの一つ一つの風景を、ゆっくりと確かめたかった。
商店街を抜け、国道を渡り、田んぼの脇を歩き、住宅地へと差し掛かる。家へを続くゆるやかな坂を登り切り、懐かしいあたりへ出る。
意外にも、水谷が旅に出る前と大きく変わったところは無かった。
三年と少しなんて、そんなものだった。
しかし、その三年と少しで、水谷の中では変わったものがある。変えたかったもの、変わると予期しなかったもの、変えたくはなかったもの、いろいろなものが変わった。
時間をどう使うか、それは自身の問題なのだ。
家のチャイムを鳴らし、扉に向かって立っていると、涙ぐんだきよえが飛び出して来て、
「もう、この子は!」
と水谷の頭をはたいた。
姉も仕事を休んで、家にいてくれたらしく、奥からスリッパをぺたぺたと言わせながら出て来て、
「アホよねぇ。無事で良かったわねぇ」
そう言い、水谷の肩を抱いた。そしてもう一度「アホよねぇ、」と言うと、水谷のバックパックを持って奥へとまたぺたぺたと戻った。
それを皮切りに、きよえは涙をぼたぼたと流し、
「お帰りなさい、ふーちゃん」
水谷は、心の底から、ただいま、ときよえに向かって言うことが出来た。
むちゃくちゃお久しぶりで、すみません!
こんな過疎サイトに、ぽちぽちと拍手、ありがとうございます…!
ホントに嬉しいです。
少しだけ、ワールズエンドの続き?がありますので、上げちゃいますね。。
水谷が大学時代に阿部を置いて放浪の旅に出てしまった、その後の話です。
・・・一応この話も続き?があるのですが、ちょっと、いろいろ、いやまぁ・・・
な、話なので、どんな水谷でも大丈夫な方だけ、読んで頂けると、ありがたいです。
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■ ワールズエンドスーパーノヴァ chapter 1.5 -1-
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長い間、世界中をうろうろと旅していたのだが、いよいよ資金的にも厳しくなり、尚且つ大学の卒業も危ういと来たら、水谷にはその全てをどうでもいい、と投げ出すほどの覚悟もやけっぱちさも無く、だらだらとスケッチブックにカンボジアの風景を描きながら悩んでいたところに、背中を押してくれる人が現れ、日本へと戻ったのだ。
帰るよ、と電話した時に、久しぶりに母親の声を聞いたら涙が出そうになった。母は泣いていた。結局は、戻れる場所があるから、こんな遠くまで来れた、ただそれだけの事だった。
そのことに気付くのに、こんなにも長い時間と長い旅路が必要だった。
しかしそれと同時に、人間と言うものが酷く孤独である、ということも、水谷は学んだ。
結局、水谷の中からあの人の存在が消えることは無かったし、何かで埋められることも無かった。
ただただぽっかりと自身のうちに穴は空いたままであった。
それでも時が経てば、そんな穴に対しても水谷は冷静に客観的に向き合えるようになったし、その穴の淵を覗き込む度に、引き裂かれそうな痛みを感じることは無くなっていた。
南極大陸以外の大陸には全て足を掛けた。
それぞれの土地で出会った沢山の人々と、沢山の笑顔と想いと出来事は、自分と同じような穴や、自分とは全く違う穴を、身の内に抱えている人々が、世界中にどれ程居るか、ということを水谷に教えた。
それぞれの穴を誰一人として共有することは出来ない。家族であっても、恋人であっても、心の底から愛した人であっても。
何て孤独なんだろうか。
それは水谷にとって、酷く感傷的であった。
しかし、だからこそ今は思えるのだ。
その孤独を脱そうともがく人々と、分かり合おうとする人々と、ちっぽけなプライドを振りかざした故に愛する人を手放してしまった、悲しい過去の自分。そういうものが全て愛おしいと。
ようやく水谷は、自分を心の底から愛おしい、そう思えるようになった気がした。
母・きよえは成田まで迎えに行く、と騒いだらしいが、ほうって置くように、との親父の厳命で、水谷は成田から電車を乗り継ぎ乗り継ぎ、埼玉の実家へ向かった。
清潔な車内、親切なアナウンス。
短くした制服のスカートを揺らしながら喋る女子高生や、疲れた顔で携帯チェックしているサラリーマン。
窓の外を流れる日本家屋の並んだ風景。
ここは、日本だった。
懐かしい、日本だった。
ふと、遠くに野球場らしきフェンスが見える。その内側で、ぶかぶかのユニフォームを着た少年たちが野球をやっている。
きっと地元の少年野球チームの試合だろう。
水谷が野球を始めたのは小学校四年の頃だから、それよりは小さい感じがする。
旅先では、全く野球に触れなかった。
野球を知っている国の、なんと少ないことか。
一応グラブは持って国を出た。
しかし、カリブのとある国に行った時に、野球を知っている男の子と仲良くなり、それまで野球の「や」の字も知らない中を旅していたためか、水谷は喜んでしまった。喜びの余り、今やグラブはそのカリブの少年の手にある。
高校時代から大事に使っていたグラブを上げてしまう程、あの時の水谷は興奮したのだ。
それと同時に、何かが吹っ切れた瞬間でもあった。
高校で使っていただけではない。
あのグラブは、猛勉強して入った大学で、阿部と同じ時間を持つたびに、キャッチボールをしたグラブだった。
今思えば、そのグラブを持って、旅に出てしまうほど、水谷の心は雁字搦めになっていた。
色んな場所を廻り巡って、沢山の人々に出会いながら、ようやく辿り着いた地球のほぼ真反対で、真っ青な空の下、小さな少年とキャッチボールをした時に、ようやくその糸から開放されたのだ。
「みやはらー、みやはらー」
ようやく懐かしい駅名がアナウンスされ、水谷は最寄の駅に降り立ち、また重量のあるバックパックを担ぎ上げる。
駅から家まではかなりの距離があるが、これくらいを歩くのは、水谷には全く苦ではなかった。
むしろ駅からの一つ一つの風景を、ゆっくりと確かめたかった。
商店街を抜け、国道を渡り、田んぼの脇を歩き、住宅地へと差し掛かる。家へを続くゆるやかな坂を登り切り、懐かしいあたりへ出る。
意外にも、水谷が旅に出る前と大きく変わったところは無かった。
三年と少しなんて、そんなものだった。
しかし、その三年と少しで、水谷の中では変わったものがある。変えたかったもの、変わると予期しなかったもの、変えたくはなかったもの、いろいろなものが変わった。
時間をどう使うか、それは自身の問題なのだ。
家のチャイムを鳴らし、扉に向かって立っていると、涙ぐんだきよえが飛び出して来て、
「もう、この子は!」
と水谷の頭をはたいた。
姉も仕事を休んで、家にいてくれたらしく、奥からスリッパをぺたぺたと言わせながら出て来て、
「アホよねぇ。無事で良かったわねぇ」
そう言い、水谷の肩を抱いた。そしてもう一度「アホよねぇ、」と言うと、水谷のバックパックを持って奥へとまたぺたぺたと戻った。
それを皮切りに、きよえは涙をぼたぼたと流し、
「お帰りなさい、ふーちゃん」
水谷は、心の底から、ただいま、ときよえに向かって言うことが出来た。